新型コロナウィルス感染後もしくは新型コロナワクチン接種後に
体調を長期間崩している場合は後遺症の可能性がありますので医師の診察をおすすめします。
その他の症状
新型コロナウイルス感染症では、発症から4週間以上経過しても次のような様々な症状が続くことが知られており、これは後遺症ではないかと考えられています。
コロナ後遺症は、時間の経過とともに徐々に改善することが多いとされていますが、時には1年以上続くこともあります。
コロナ後遺症については、まだ分かっていないことが多く、根本的な解決方法にあたる特効薬や注射はまだ見つかっていません。
単一の病態ではなく人によって症状の種類や程度は異なり、さまざまな臓器障害や病態を来すことが知られています。
その一つには血管や心臓など血流に関係する部分での炎症を起こすことがあるために静脈炎や心筋症などの病気になることがあります。
そこで、血行障害や血栓症をおこす可能性も高くなり、またそれらのために起きる二次的な免疫低下もしばらく続くことがあり、コロナ感染症が落ち着いても体調不良が続いてしまうという方が少なくないようです。
また、コロナ後遺症と思っていたら、実はコロナの後に他の病気を発症したという可能性もあります。更には、症状の原因としてコロナ禍における精神的ストレスが引き金となり、体調不良の原因となっていることも否定はできません。これらのことからコロナ後遺症には身体と精神という両面からの診察が必要と考えられます。
(当院ではまず血液検査を行い、器質的な障害をチェックすることから診察を始めさせていただきます。)
現段階では確かなコロナ後遺症の原因が分かってはいません。しかし、いくつかの仮説が存在します。
新型コロナウィルスに対して米ファイザー社とモデルナ社の開発したm-RNAワクチンは日本でも第5波(デルタ株が主体)までは感染防御だけにとどまらず重症化抑制には効果があったことが証明されています。しかし、またこれらのワクチン接種後に様々な副作用と思われる症状が出ておいでの方々も少なくはありません。
ファイザー社とモデルナ社のワクチンに対するアナフィラキシーは日本では100万回接種あたり7件と報告されており、女性に多く、そのほとんどは1回目の接種時に発生しています。一部の事例では、ワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)へのアレルギーが証明されていますが、PEG化されたナノ粒子には反応するが、PEGのみには反応しないという事例も報告されており、原因の特定は簡単ではありません。
欧州医薬品庁(EMA)は、アストラゼネカ社のアデノウイルスベクターワクチンの接種を受けた2,500万人のうち86人に血栓症が発症し、18人が死亡したと報告しました。(特に若い女性で発症しやすいことも示されました。)
米疾病対策センター(CDC)は、mRNA型ワクチン接種後に心筋炎・心膜炎を発症した事例が、ワクチン有害事象報告システムに1000件以上報告されたと発表しました。
心筋炎・心膜炎は、ワクチン接種1-5日後に急な胸痛を伴い発症します。30歳以下の男性に多く、2回目の接種後に多いことから、その発症に免疫機構の介在が推測されますが、発症頻度が高い18-24歳の若年男性でさえ1回目には100万回あたり8.7人、2回目には100万回あたり56.3人と発症数は多くはありません。しかし、mRNAワクチンに対する何らかの免疫応答が心筋炎・心膜炎の発症につながるのではないかと推測されています。
心筋炎・心膜炎は、新型コロナウイルス感染症の合併症としても報告されており、スパイク蛋白に対する免疫応答が関与している可能性もあります。
亜急性甲状腺炎、顔面神経麻痺、急性横断性脊髄炎、ギランバレー症候群、ネフローゼ症候群、横紋筋融解症、帯状疱疹、スティーブンス・ジョンソン症候群などがワクチン接種に伴い発症したとの報告があり注意を要するが、報告数が少ないため因果関係は不明です。今後のさらなる研究が望まれるところです。