その他の症状

大局的に観た新型コロナウィルス予防法

３月に入りました。
しかし、どうやら残念なことに新型コロナウィルスはまだまだ拡散中のようです。
困りました。しかし、困ってばかりもいられないので前回に引きつづき、もう少し突っ込んだ内容でコロナウィルスはじめ、病気に対する予防法について書かせていただこうと思います。はじめにことわっておきたいのですが、この文章は医師であるわたしの個人的な考えであり、あくまでひとつのものの見方として読んでいただくほうがよいかもしれません。とはいえ、この３０年間、わたしはクリニックで延べ５０万人ほどの患者さんを診てきて気づいたことがありますので、それをもとに書かせていただこうと思います。長くなりそうなので、お時間のあるときにどうぞ。

１．病気になる秘訣

よく、『病は気から』といわれます。
病気になるんじゃないかなるんじゃないか、、、と年中心配している方のほうが病気になりやすく、そんなことよりも今やっていることに夢中になっている方、つまり自分が何をしたいか、どう生きたいかを考えてそれを実行して生きることを選択している方のほうが、あまり病気になる確率が少ないのではないかな、ということです。
病気というものがそもそもどんなものかと考えたとき、たとえば毒を飲んだとか凄い病原菌が身体の中に入ってきたとなれば、これは日頃どんな予防をしようとも準備をしようとも、とても人間には太刀打ちできないと思います。

しかし、ふつうの生活をしているなかではやはり何らかの理由で、病気にかかりやすい人とそうでない人の差というのが出てきます。そのひとつとして、医療現場で長年仕事をしているわたしには感ずることがあります。どうか怒らないで聞いていただきたいのですが、人が病気になるときというのは、病気になることで自分自身にとって都合のよい理由、または言い訳があることが多いのではないかということです。つまり例えば、「本当はもうこの仕事がいやでたまらないのだけど、ほかに仕事を見つけるのは大変そうだから、それにやったことのない新しい仕事に挑戦するのはなんだかこわいから、いやでもこの仕事を続けるしかないか。でも、ほんとうにいやになっちゃったから、ちょっと休めるといいなあ・・・」などと思っているようなときです。
また逆に、本当にどう生きたらいいのかわからなくなってしまったようなときに、「生きてるといろんなしがらみや関係性の中で自分を後回しにして流されるままに過ごしてるうちに、ついにのっぴきならないところまできちゃった。これからどうしよう。何か他者も自分も納得させられるようなもっともな理由はないかな」などと考えているようなときもです。
よけいな考えに邪魔されずに自分が進みたい方へ思いのまま進んでいるときには、人はとても強くなれます。もちろん、そのときあまりに意気込みすぎて自分の心の声、身体の声を無視してがむしゃらに突っ走りすぎると無理がたたって病気になることもありますが、とはいえ、おおむね生きるべき方向を見定めているときにはいろんなことがうまくいくように感じます。では、新型コロナウィルスにかからないようにするには、いまから人生を深く考えようというのか？　というと、、、実はそうなんです！

２．自分が癌になって

わたしは３５歳の時にがんになり、手術をしたものの半年で再発する、という経験をしています。もちろん、この時は面くらいました。まあ、病気をするようなヘヴィな生活を送っていたので、がんになっても不思議はなかったのですが、やっぱりとても落ちこみました。ただ、自分の性格がおかしかったせいか、直観というのをすんなりと信じられたせいかわかりませんが、この再発時には抗がん剤や放射線療法などを使わずに、食事療法やサプリメント療法、運動療法、その他の代替医療を治療法として選択し、その結果、大きな後遺症もなく、完治することができたのでした。よく『病を得て』という言葉がありますが、そこではじめて「これは、がんになったおかげというのもあるんだな」ということに気づきはじめたのです。

３．病気の効用

病気というのはなるべくしてなるのだろうなと思うことがあります。
もちろん、その人自身にはどうすることもできない遺伝的な問題とか先天的な病、突然の病気の発症や急変などということを除いたうえでの話ですが。
そして、意外かもしれませんが病気になることにも少しはいいことがあります。
病気になって何がよいかというと、これまでの自分の生き方のどこが変だったかとか、どうやらいつの間にか自分が当初望んでいたところとは違うところにきてしまったようだということに、ふだんより気づきやすくなるからです。
病気になった原因というのは自分の食生活や睡眠や仕事のやり方などの生活サイクル、家族や友人、職場での人間関係や社会との関わりあい方など、それこそ理由はいくらでもあるでしょうが、病気になったせいで思うようにならない時間ができたおかげで、これまでないがしろにしてきた自分の心の奥底や身体の訴えに静かに耳を傾ける、いってみれば自己との対話の機会をもらえるということがありそうです。
何かがおかしい！
これがキーワードです。
もちろん、わたしたち医者の仕事はこの『何かがおかしい！』原因をみなさんと一緒に探っていく、ということが大切な仕事になっています。

ところが、何かがきっかけでその自己矛盾に気づいたとしても、ただそれだけだったら人は別にお金にも困らない、痛くもかゆくもない、ということだと、人は絶対に自らを変えようなんてしません。究極に困ったことでも起こらないかぎり、大概の人は変われないのです。そのために病気というのものはわたしたちに、「さあ、自分で問題点に気づいてくださいね」というお土産を持ってきてくれることが多いのです。
でも、もちろん、わざわざ病気になる必要なんてありません。必要なときにはいつでも向こうから勝手にやってきますから。

４．新型コロナウィルス登場

さあ、そして今回は新型コロナウィルスの登場です。
自然発生的なのか人為的的なのかはわかりませんが、とにかくこのウィルスが令和２年の初頭に突如お目見えしました。これは1人の人間に大きな問題を与えるのではなく、地球単位でやってきたウィルスです。このウィルスはどれだけ、恐れなくてはならないものなのでしょうか？
これまでも世界ではハンセン病、天然痘、コレラ、チフス、スペイン風邪などいろいろな感染症が流行ってきました。しかし、その多くの病気に対して、わたしたちの祖先は解決法を見つけてくれました。（完璧ではありませんが。）
感染症が流行るたび毎回、毎回、歴史は病気に翻弄されてきました。
しかし、いま述べたスペイン風邪などは２０世紀初頭に世界の３分の１の人がかかってしまったため兵隊に行く人が減り、多くの国が戦争できなくなってしまい、結果、この病気のおかげで第一次世界大戦は早く終結せざるを得なかった、という話もあります。
さあ、ではなぜ今回、この新型コロナウィルスがやってきたのでしょうか？
この病気が流行っている真っ最中にそれを深いところで理解しようとするのは難しいことですが、少なくともわたしたちはどうやってこのコロナウィルスを退治すればよいのでしょうか。

わたしはこのウィルスを退治する前に、このウィルスを恐れる前に、この新型コロナウィルスの登場を自分自身との対峙のきっかけにするのはどうかな？　と思うのです。
つまり、「もしコロナウィルスなっちゃったらどうしよう？！　自分はいま病気になってる場合じゃないのに！！」と言う前に、いったい自分はこれからどう生きたいんだろうか、ということを考えてみるということです。
自分がいまどう生きたいのかを知らずにただ生き続けていることのほうこそ、実は恐ろしいことなんじゃないでしょうか。この機会にいま一度、それを心底自分に感じさせ、考えてみてはどうかな、と思うのです。

５．何がしたいのか？　どう生きたいのか？

もしいま、自分がしたいことがはっきりしたらどうしますか？
この仕事がしたい。どうしてもこの人と友達になりたい。一生に一度はここに行ってみたい。これをやってみたい。できるようになりたいetc;・・・
そういうことがしっかり見えてくると人はなんとかしてそれを達成しよう、その経験をしようと動かずにはいられなくなります。エネルギーが出てきます。エネルギーを使うとお腹も空くのでごはんもしっかり食べますし、疲れたら早く寝ようと思います。待ち遠しい仕事があれば朝も早く目覚めますし、仕事の能率も上がります。憧れの人と友達になるために自分を磨いたり、新しい仲間のために優しくなろうとしたり、友達の話を聞こうとしたりします。
すると、人生は変わります。
そして間違いなく元気になります。
もちろん、そこで新たに悩むことや問題も出てくるかと思いますが、でも何もしないでずっと気に入らない状態のままで過ごしていると、間違いなく心や身体の便秘状態になってしまいます。便秘はよくないです。免疫力が下がってしまいます。もう新型コロナだろうが、インフルエンザや風邪だろうが、なんだってかかりやすくなってしまいます。
大腸がんだってですよ！
・・・とすれば、今回のこのウィルス到来をちょうどよい機会と捉えて、どう活かすかです。まずは予防のために手洗いやマスクももちろんよいのですが、自分自身の免疫バランスをよくすることをやる。それにはどう生きるか決めていく、ということです。

６．具体的な目標の立て方

よく、この仕事は面白くない、あの仕事は退屈だ、このあいだまでやってた仕事は自分に向いていなかった、とかいう話はよくある話です。ただ、人にはどんな仕事でもやっていると愛着が湧いてくるという習性があります。
よく「石の上にも３年」といわれますが、ただ言われたことを黙々とやっていても、自分で創意工夫しながら努力して集中して物事をマスターしようとしても、１年というのはほんとうにあっという間です。少なくとも１年間は同じことをやってみないと、その仕事の深いところは見えてこないのではないかと思います。
また、スポーツ選手や起業家たちがよく言う『１万時間の法則』」といって、何かを１万時間以上やりつづけると、それはその人のものになる、という経験則から生まれた法則がありますが、1万時間というのはちょうど３年から５年に匹敵する時間です。
しかるべく結果を出そうと思ったら、それくらいまとまった時間が必要かもしれません。
早期に諦めたり、仕事を見限ってしまうと損をすることもありますよ、というお話です。
そして、縁というものはいつだって大切です。
考えごとをしながらぼんやり歩いてたらいきなり目の前にどこかの会社の看板が目に入ってきた、とか、駅のホームでどこかの企業の広告ポスターにしばらく見入ってしまった、とかいうことも含めてです。自分が一生懸命何かを見つけようとしているときに何かに目が行くとか、とつぜん人から連絡がある、というようなことは自分ではコントロールできない何かの力が関係しているようです。それを『共時性』（シンクロニシティ）とか『直観』と呼ぶわけですが、頭で考えるのではない、心が爽やかに反応するような、そういう感覚があるときにはそれをしばらく追及してみるのもよさそうです。そこから次のこと、また次のことと少しずつ深堀りしていくと、しだいに具体的な目標が見えてくるのではないかと思います。
最初から「大富豪になる！」とか「地球におけるこの業界のトップになる！」と決めるのもありかもしれませんが、まずは自分の手の届くところからやっていくのが結果、早道のような気がします。とにかく行動することです。これもまた成功者の言葉になりますが、『不安は行動しないから現れる』という言葉。実にもっともだと思います。

さて、ここまでやたらと長くなってしまいましたが、３月に入っても日本国内はもとより、ほかの国でもコロナウィルスの沈静化がまったく見えないため、日々現場に立つ医者としてはつい、みなさんの健康に役立つことはできないかと思って書きたくなってしまったのが今回の文章です。ここでは具体的にどう消毒するかということより、病気のもっと根源的なことについて書かせていただきました。それはかつて病気がちだったわたしが昔よりも元気になれた経験と、日ごろから自分の患者さんを診察していて感じたことをまとめさせていただいたものです。ご参考にしていただければうれしいです。
新型コロナウィルスはじめ、ウィルス感染症の具体的な予防法につきましては、先にあげました『ウィルス菌感染症（新型コロナ、インフルエンザや風邪）の予防について』に詳しく述べました。そちらをお読みいただき、実践していただければと思います。

それでは、長い文章を最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
みなさんの毎日の暮らしが早く落ち着き、明るく健康な日々が戻ってきますよう、
心からお祈りいたします。ありがとうございました。

大北メディカルクリニック院長　　松永　敦