新型コロナ後遺症やコロナワクチン後遺症では上咽頭(鼻の奥の部分やのどちんこの上の方の部分。アデノイドのある場所)に炎症を起こしてしまっていることがかなり多く見受けられます。
この部分の炎症を治す治療のひとつに上咽頭擦過療法(EAT:イートまたはBスポット療法と呼ぶ)という治療があります。当院では3代前の院長、大北 要(明治生まれです。)が初めてこの治療を始めました。
つまり、大北メディカルクリニックでは70年ほど前から行っていた歴史的な治療です。
では、なぜこの古い治療が最近になって、また脚光をあびているかについて記します。
大正時代や昭和初期には今ほど効果的な薬があまりありませんでした。
しかし、昭和初期の耳鼻科医はこの上咽頭にある咽頭扁桃(アデノイド)を消毒し、刺激を与えることで体全体の免疫バランスを取ることができるという事を経験的に知っていました。例えば、風邪の予防や風邪にかかった直後であれば、すぐに体調を取り戻せるといったような効果です。そこで、ちょっとした喉の痛み、倦怠感などのある風邪の時にはこのEATを頻繁に行っておりました。
ところが、昭和も後期に入ってきますと効果的な抗生物質や抗炎症薬が使用されるようになり、この耳鼻科医にとっても技量を必要とし、なおかつ費用の安い(保険による3割負担で130円です。)EATはすたれてしまったのです
ところが、このコロナ後遺症やワクチン後遺症の方々に対し効果的な治療法がない今、EATにそれらの免疫不全を改善する効果があることが分かってきました。(福岡歯科大学耳鼻咽喉科ではEATが新型コロナウイルスの受容体発現を低下させることを論文にしておられます。)そのために、さまざまなアレルギー疾患、リウマチ、膠原病などに用いられてきたEATがこれらのコロナ後遺症などにも応用されるようになってきたのです。
倦怠感、発熱、頭痛、息苦しさ、咳、動悸、ブレインフォグ、うつ、睡眠障害、嗅覚障害、味覚障害、コロナ後遺症、コロナワクチン後遺症、慢性疲労症候群、線維筋痛症、腎臓病、関節炎、膠原病、皮膚疾患、掌蹠のう胞角化症、ぜんそく、リウマチ、アレルギー疾患、風邪の予防など
当院ではEAT治療は昭和初期から延べ人数、何十万人という方々にこの治療を施してまいりましたが、正しい方法で行われる限りにおいて安全面での問題があったケースは1例も存在していないと伝えられています。
ただ、初回の治療後の上咽頭や中咽頭におけるヒリヒリとした痛みは「ひどい風邪をひいたときの咽の痛み」によく似たものであり、この痛みは2~3日間は続きます。しかし、2回目以降は回を追うごとにこの痛みが軽減してまいります。
5回目を過ぎるころにはこの痛みは数時間程度のものに軽減される方が大半であるために治療効果、費用の安さなどから考えますと非常に有効な耳鼻科的治療と言えると思われます。
他施設からの報告によりますと鼻腔からの薬液による刺激を行った場合に嗅覚が減退してしまったというものはありますので、当院では基本、鼻腔よりの硝酸銀を用いたアプローチは行っておりません。
EATに齢制限はありませんが、炎症があると痛みますので、この痛みに耐えられる年齢、つまり小学校高学年ぐらいから当院では実施しています。 また、痛みに耐えづらそうなお子さんにはルゴール消毒液による刺激のみを選ぶようにしています。